大磯町遊廓（化粧町遊廓）
※1930年（昭和5年）発行の「全国遊郭案内」より
大磯町遊廓
大磯町遊廓は神奈川縣中郡大磯町字大磯に在つて、東海道線大磯驛から東北へ約五丁、乗合自動車は大踏切で下車する。貨十錢。
大磯も五十三次の宿場であったが、其れよりも有名な事は、鎌倉時代に於ける唯一の花柳界であった事だ。西鶴物や、鎌倉時代の洒落本等を見ると、鎌倉から態々大磯船で漕ぎ附けたものらしい。あの時代が恐らく大磯の全盛期だつたらふ。遊廓の近傍の虎子堂には會我兄弟の木像があり、延臺寺には虎子石と云ふのがあつて、十郎が虎の家に泊つた夜工藤祐經の間者が十郎を射殺す爲めに射つた矢が此石に當つて十郎は無事だった。石に矢の跡が残つて居る。尚名所としては照ヶ崎海水浴場、千畳敷、鴫立澤等がある。鴫立澤は西行法師の歌で有名に成つた處だ。目下貸座敷は、柳川樓、和涯樓、桃や樓の三軒しか無く、普全盛時代の面影は其の片鱗だも見出せない。娼妓は八人居るが東京府と茨城縣の女計りだ。店は陰店を張って居て、娼妓は全部居稼ぎ制、遊興は時間制で廻しは取らない。經
費は一時間一圓八十銭、引け過ぎからの一泊は五圓三十銭である。臺の物は附かない。藝妓は居ない。本部屋も無い。
大磯町遊廓（化粧町遊廓）の地図
神奈川県中郡大磯町大磯
※地図のマーカーは、おおよそこの辺りではないかと推測される場所に打っています。確証はありません。
大磯町遊廓（化粧町遊廓）関連ブログ
たけなわ公園
明治３６年、旧大磯宿北本町にあった貸座敷が東海道（旧道）と東海道線の交差する南側にあたる竹縄の地へ移転、「大磯新遊郭」が誕生した。もっとも昭和初期には既に営業者は２軒のみに減っていたそうで、当然現在の竹縄地区に往時の面影を遺すものは何もない。
大磯町大磯の公園より
大磯町遊廓（化粧町遊廓）関連ツイート
ボン浮世絵・周延「曽我物語大磯遊郭」日本三大仇討の一つ、曽我兄弟の物語の一場面。波に千鳥=海の模様をまとう女性は、曽我十郎への愛を貫いた遊女大磯の虎の姿でしょうか。実際の仇討ちは初夏だったようですが、曽我と梅のイメージが美しいので三枚組から抜粋でアップ。(MT) #貴重書 pic.twitter.com/gsEupZPGBm
— 慶應義塾大学三田メディアセンター (@Keio_MitaLib) February 14, 2018
