大野町遊廓
※1930年（昭和5年）発行の「全国遊郭案内」より
大野町遊廓
大野町遊廓は輻井縣大野郡大野町字神明町に在つて、北陸線福井驛から電鐵で「大野」へ下車すれば宜しい。福井からの賃金は八十錢である。
目下貸座敷は十五軒あつて、娼妓は三十人、抱へ藝妓も二十人程居る。店は寫眞式の家と陰店の家とあつて、藝妓も娼妓も共に居稼ぎ制である。廻しは取らない。費用は縣知事の許可を得た値段を示して見ると、夜の十二時迄は花代四十分で一圓十錢宛、十二時以後翌朝迄は通し花が四圓四十錢、午前二時から朝迄なら通し花は二圓七十五錢と成って居る。藝妓は晝夜共一時間一圓十四錢宛の計算である。
中川樓、泉家、新田屋の三軒には藝妓しか居ないが、松竹樓、渡邊樓、山木樓、大和樓、面芳樓、龜井樓、春開樓、大華樓、大正樓等には藝娼共に居り、壽樓、清壽家、福井亭は娼妓専門である。
附近には有名な篠座神社がある。
大野町遊廓の地図
福井県大野市日吉町
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大野の遊廓跡（さんのうさん）
大野（かつての遊廓街）新明町、日吉神社周辺
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戦前の福井県では、娼妓専用の学校が設けられている遊廓があった。福井市の桜花学舎、大野町の懐徳学舎の2ヶ所で、同時代の新聞記事によれば各種縫製を教えていた。縫製の教育は、例えば共立女子職業学校のカリキュラムにもあるとおり、当時の女性には生計を立てるためにも必須の技術だった。
— 玉欄 (@ailefenen) January 26, 2022
特に娼妓の多くは、遊廓から自立できないよう、わざと家事の技術から遠ざけられていた。妓楼の雑用は女中やお針子が雇われており、娼妓が着物を繕うにしても彼女たちに料金を支払わなければならず、それも借金に上乗せされた。
つまり、娼妓に家政の技術を教えるのは、それだけで革新的なことだった。— 玉欄 (@ailefenen) January 26, 2022
大野町の懐徳学舎は、設立当初は書画や華道など各種教養も教えていたが、当の娼妓たちが学問の重要性を理解できず、今日でいう学級崩壊の有り様に陥ったため、実技に切り替えたらしい。この学校は毎年、春は遠足、秋は郊外で運動会を開くなど、なかなか学校らしく、いくつか新聞記事が残っている。
— 玉欄 (@ailefenen) January 26, 2022
