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出雲町遊廓

※1930年(昭和5年)発行の「全国遊郭案内」より
長崎市出雲町遊廓
長崎市出雲町遊廓は長崎縣長崎市大浦出雲町に在って、門司本線長崎驛で下車すれば南へ約三十丁の地點に在る。長崎驛前から市電に乘つて出雲町で下車すれば直ぐである。此の時間約十七八分位なものであらふ。
現在の遊廓は、明治二十六年三月一日に設立されたもので、遊廓としては新らしい方である。多分散在している私娼の風紀を取締る必要上から生れたものらしい。何れにしても長崎は、明治維新前迄の勢と云ふものは素晴しいもので、総ての文化の源泉地であつた。殊に蘭學に於ては最高の學都であった。茲に學ばねばーかどの医師とは認められなかつた時代もある。丸山を有し、船戸町を有し、出雲町を有し、稲佐を有する長崎は、現在の長崎港としては少々荷が重過ぎる傾向はあるが、維新前の長崎は未だ未だ素晴らしいものだったと云ふ事である。
現貸座敷は九軒あつて、娼妓は八十五人居る。店は陰店で紺ののれんが下つて居る。娼妓は居稼ぎ制で、廻しは取らない。従って御定りの他は時間制で一時間一圓五十錢位である。御定りは甲七圓、乙六圓、丙五圓、外に客一人に付税が五十錢付く事に成つて居る。御定りには無論御銚子に小物が付いて一泊出来る事に成っている。
妓樓は、萬年樓、山遊亭、紅夢樓、清月樓、小松樓、紫藤樓、織屋、大學屋、櫻家、の九軒。

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出雲町遊廓の地図

長崎県長崎市出雲



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